en-gのスキーな毎日

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スキー昔話 2

「昔話」といっても、レルヒや長岡外史ほど昔のことではなくて、オラが紅顔可憐の美少年だった頃、日本が高度成長に向かってまっしぐらだった時代の話です。
本棚の奥から1967年版のブルーガイド『ski calendar』を見つけてきてページをめくっています。
当時を知る上での貴重な写真がいっぱい載っているのですが、中にこんな写真がありました。


1番目は植木毅さん。豪雪の燕温泉を拠点としていて、深雪の植木と呼ばれていたスキーヤーだ。
2番目は苗場の井上恵三さん。若い頃は見谷昌禧さんとともに当時の日本を代表するスキーヤーだった人だ。
今のスキーヤーが植木さんのフォームを見たら、きっと「えっ、なんでこんな不自然な格好で滑ってるの」と思うに違いないよね。
けど、当時上級者といわれるスキーヤーの間ではこんなふうに外肩を引いて“く”の字姿勢を強くして、わざわざ苦しい姿勢で滑るのが流行っていたんだ。
それでもスキーヤーすべてがこんな格好で滑っていたわけではない。それが証拠に井上さんのフォームは普通だし、今もオラたちは新雪でこんなふうに滑っている。
それに、ふだん変な格好で滑っているスキーヤーだって、きっと新雪や悪雪に入ったらこんなフォームではなく普通の格好で滑っていたんじゃないかと思いますよ。第一あんなフォームでは腰まで、胸までの深雪や、春のくされ雪の中では不安定で転んじゃいそうだもの。
ていうか、その時代その時代の流行、たとえばその後のヴェーレンテクニックだったり、近くは1軸だの2軸だのとワケの分からない技が流布されたり、またひところはウンコするみたいなフォームで膝だけカクンカクンと入れ替えて「カービングで滑ってますよー」みたいな滑りだったりと外見は流行り廃りだけれど、結局は上から下へ正確に早く滑り降りてくればいいわけで、単板スキーの昔もハイテクスキーの今もその基本となる技術に変わりはないってことなんじゃないかと思う今日この頃です。