en-gのスキーな毎日

http://kitakaze.yukigesho.com/ mail en-g2008@docomo.ne.jp

『あのスキーはどこへいった?』 西澤保佑著 河出書房新社

安政年間の創業から今に至るまでの西沢書店の物語です。
勿論タイトルが示すようにページの多くはスキーの話で占められています。
ニシザワスキー盛衰の歴史です。
私が田舎の商業学校を卒業して郡山の製菓会社に勤めたのは、日本がまさに高度成長の時代に突入しようとしていた時代でした。
レジャーなどという言葉が世間に流布したのもこの頃だと思います。
オニーちゃんやオネーちゃんはこぞってスキー場に押し寄せ、リフト待ち30分や40分は当たり前、1時間近く並んでやっとリフトに乗れるなんてのも珍しくない時代でした。
当時は国産スキーメーカーもいっぱいありました。西沢、小賀坂、カザマ、スワロー、波多、芳賀、青森、等々。
そんな時代に、郡山駅前にあったオノヤスポーツに足繁く通って私が初めて自前で買ったスキーが西沢のヒッコリー合板のスキーだったのです。
この本、西沢保佑著『あのスキーはどこへいった?』(河出書房新書)では、レルヒが日本にスキーを伝えてから、間に戦争を挟み、その後の高度成長期からバブル期への空前のスキーブームを経て今に至るという日本のスキーの歴史の一面が、西沢スキーの盛衰を通じて語られています。
あのころに青春時代を過ごし、スキーに明け暮れた若者たちにとっては甘酸っぱい思いが胸にこみ上げてくるような1冊かもしれません。
また、西沢書店はここ会津にとっても縁のある会社だったということも分かりました。
明治41年、西沢書店は本店の他に、上田、屋代、佐久、須坂、伊那、飯田、丸子、高田、福島、そして会津の13店で書店展開をしたと記されています。
今、会津アピオにある西沢書店もその出自はあの西澤書店だったんですね。