en-gのスキーな毎日

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スキー昔話 6

《既存の概念からはみ出す者への中傷》
志賀仁郎という人がいます。
昔からいました。
今もいます。
スキー界の重鎮然としています。
『skier'74』第1集に「今に死人が出るぞアクロバットスキー」というタイトルでこんな記事を書いています。

スキーをはいて空中一回転、時にはデコボコの急斜面でそんなおっそろしいめに遇った御人(ママ)も少なくないはず。そんな恐ろしいことを、人に見せるためにやっているちょっと頭の薄い連中がいる。
‐中略‐
誰だ、エベレスト大転倒などという大それたことやって、こんな若者たちに火をつけたのは。参議院選に出たって投票してやらないよ。

さらには、SIAに所属していない(自称)プロを「スキー浮浪者」と蔑んで、こうした連中がでけえ面しているのを野放しにしているスキー場はどういう神経なのかと息巻いています。
けど、その頭の薄い連中と侮蔑された若者たちこそが今に繋がるフリースキーへの道を切り開いてきたんですよね。また、エベレストで大転倒したというスキーヤーが主宰するチームからは、オリンピックやワールドカップで活躍する多くのスキーヤーや指導者が生まれました。
会津出身の五十嵐和哉さんもそのひとりです。
時代の先端に立って道を切り開いていく者たちは、既存の概念の中でしか物事を考えられない人にとってはいかがわしい存在でしかないのですね。
いつの時代も同じなのかもしれません。

  • 補遺

エベレスト大転倒と揶揄されたご本人の三浦雄一郎さんは「SKI'72」第3集で、自由を求めてプロになったスキーヤーを組織という網に押し込めようとしているとして

いわゆるプロスキーヤーになる人種がゴマンと出現したのはうれしいことだと思っていたが、いつのまにかレンメイなるものをつくってふたたび組織という補足網をもって、自由に生きたいと念じている、数少ない雪の虫たちを網の中におし込んで、動物園をつくろうとしているではないか。

と書いています。